「跡継ぎがいない」、「子供や孫に迷惑をかけたくない」などという理由から、お墓ではなく【納骨堂】を選ばれる方が増えてきています。
そんななか、故人を偲ぶ意味でも位牌を置きたいと考えている方も多いようです。そこで今回は、納骨堂に位牌を置くことができるのかということについて、宗派による違いや位牌を置く際の注意点などともにご紹介いたします。
そもそも位牌の意味とは?
位牌とは、故人の戒名や亡くなった年月日、亡くなった年齢などを記した木札のことを指しますが、「位牌は故人そのもの」と考えられています。
なぜならば、新しい位牌を購入すると、四十九日法要の際などに「魂入れ」を営み、故人の魂を宿すからです。(逆に、位牌を廃棄する場合は「魂抜き」という法要を営む必要があります。)
このため、遺族や知人が故人を偲ぶときには、位牌はなくてはならない大切なものとされています。
宗派によっては位牌がない場合もある
遺族にとって、なくてはならないとされる位牌ですが、宗派によっては位牌を必要としない場合もあります。
位牌を置かない仏教の宗派としては、浄土宗や浄土真宗などが挙げられます。浄土宗や浄土真宗では位牌がない代わりに、故人の名前を記し残していくという意味で「過去帳」というものを仏壇に置きます。
ただし、絶対に位牌を置いてはならないといった厳しい決まりではありません。故人を偲ぶ気持ちが一番大切ですので、どうしても位牌を用意したい場合は、寺院に相談されてみてください。
納骨堂の種類について
位牌の意味や必要性をご紹介したところで、納骨堂についても少し触れておきたいと思います。
納骨堂には様々なスタイルがあり、位牌を置けるものと置けないものがあるためです。中でも、比較的人気の高い納骨堂を3種類ご紹介いたします。
※なお、納骨堂の種類についてさらに詳しく知りたい方には、「【納骨堂】の種類と特長について」という記事もおすすめです。
ロッカー式納骨堂
コインロッカーのような個別のスペースに遺骨を納める方式の納骨堂です。
一つの棚に個人もしくはご夫婦のご遺骨を納めることができます。
ロッカーの扉には鍵をかけることができ、お参りをする際は扉を開けて供養を行います。
スペースが狭いため、供養物などを置く場所は限られています。
仏壇式納骨堂
個々のスペースに仏壇が設置されている方式の納骨堂です。
仏壇の上段には位牌を、下段には遺骨を納めるスペースがあり、焼香具やロウソク立てなども置けるので一般的な仏壇と同じように使うことができます。
納骨堂の中では比較的に費用が高くなる傾向にあります。
機械式(カード式)納骨堂
遺骨が奥の倉庫に安置されており、お参りの際にタッチパネル操作で自動で遺骨が運ばれてくる方式の納骨堂です。
お花やお香などが用意されていることが多く、手ぶらで参拝することができます。
タッチパネルを操作すると故人のメッセージが聞けたり、思い出の写真などが見れたりするため、従来のお墓参りにはなかった供養ができると人気が高まっています。
位牌を置ける納骨堂
様々な種類がある納骨堂ですが、位牌を置くことができる納骨堂となると限られてきます。
位牌が置けるのは「個別スペースがある納骨堂」となるため、上記の種類の中ではロッカー式と仏壇式になります。
仏壇式は家に置く仏壇と同じように使うことができ、ロッカー式は区間スペース内であれば、納骨堂の規定によっては置くことができます。
基本的に、永代供養で合祀となる納骨堂では、個別スペースがない場合が多いため位牌を置くことはできませんが、納骨堂によっては位牌を置くスペースを別で設けている所もあるので、一度、実際に納骨堂を見学をして検討されることをおすすめいたします。
永代供養の納骨堂に位牌を置くときの注意点
前項で位牌を置くことができる納骨堂をご紹介しましたが、位牌を置くときの注意点がありますのでお伝えいたします。
永代供養の納骨堂で位牌を置く際、一定期間が過ぎて合祀となった場合は、個別の位牌設置場所がない限り位牌はお焚き上げによって処理されてしまうという点です。
そのため、位牌を手元に残しておきたい場合は、合祀になる前に位牌を回収しておきましょう。
まとめ
今回は納骨堂に位牌を置きたい場合についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
最後に、位牌は必ずしも置かなければならないということはなく、永代供養の納骨堂を検討する場合は位牌を購入しない方もいらっしゃいます。
なによりも、故人を偲ぶ気持ちが一番大切だと考えますので、どうぞご自身やご家族に合った供養のスタイルをご検討ください。